第4回坐骨神経痛をボールでケアする

ボールの選択

 前回は、ボールを使ってお尻と太ももの裏側のコリをほぐす方法を少しご紹介しました。今回は、ボールを使ったセルフマッサージのバリエーションについて、もう少し詳しくご説明したいと思います。まず、使用するボールの種類ですが、公式のテニスボールが硬さと大きさからしてオールマイティです。
 太ももの裏側(とくに膝に近い部位)をほぐす場合は、上半身の重さをかけられないので、ソフトボールなどを活用して深部の固くなっている組織にアプローチすると良いでしょう。
 足底のコリをほぐすときには、ゴルフボールがオススメです。固くて刺激が強いのですが、確実に足のアーチと足底腱膜(踵に近い部位)のコリとうっ血の改善に効きます。

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圧迫する時間と強さ

 筋・筋膜など軟部組織のコリや緊張を落とす際に注意しなければいけないのが、角度と強さ、時間です。短時間で効果をあげ、尚且つ揉み返しにならないようにするためには、上記の3要素が大変重要になります。
 一例として、トリガーポイントのケアを挙げてみます。トリガーポイントのシコリに対して垂直に圧を加えなければ、骨に押し付けることができず、適切な力を加えることができません。圧力を加える強さの基準ですが、我慢できない痛みの限界を10としたときに、7までが許容範囲と言われています。苦痛で顔を歪めるほどの強さでは、炎症を悪化させてしまったり、余計なところに力が入ったりして、効率よくシコリに圧を加えることが出来なくなります。
 逆に5以下でもシコリの芯まで到達しないので、効果はあがりません。
 圧迫する時間は8〜20秒です。圧迫している間は、目的の組織への血流が止まっているので、これ以上長い時間圧迫を続けると細胞にダメージを与える可能性が生じてきます。逆に、8秒以下だとトリガーポイントを極小化させることができません。

体勢を変えることで効果が変わる

 ただボールに乗って圧迫するよりも、少しずつ体勢を変えて当てる角度を工夫することが大切です。画像は坐骨神経痛に対するセルフケアの様子ですが、少しずつ体を回旋させて当てる部位を変えています。当たる角度が変わると誘発される感覚も変わるのです。慣れてくると、シコリや強張った組織にベストな角度と圧を加えられるようになります。

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大殿筋のマッサージ

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中殿筋のマッサージ

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大腿樹筋膜張筋のマッサージ

脛の痛みと痺れ

 椎間板ヘルニアや坐骨神経痛の症状で、本態の問題が改善された後でも脛に痛みや痺れが残ることがあります。脛の前にある前脛骨筋と呼ばれる筋肉は、足関節と膝関節の機能に多大な影響を及ぼします。
この筋肉が機能不全を起こすと、膝を完全に伸ばすことができなくなり、足関節の可動域が著しく低下します。完全なしゃがみ動作が困難になり、歩行・走行フォームにも問題が生じます。
また、仰向けに寝たときに腰が反って痛みが出るケースも、前脛骨筋の短縮が関与しているのです。
 この筋肉をほぐすには、片膝立ちになって脛にボールを押しつけながら、ズーンと響く場所を探して20秒ほど圧迫します。繰り返しているうちに脛の張りが改善されて、脛の痛みと痺れ、膝下の重さが楽になるはずです。
この方法で脛の違和感が消失すれば、椎間板ヘルニアや坐骨神経痛の心配は、ほぼなくなります。

画像は坐骨神経痛に最適なボールマッサージの様子ですが、他の部位にも応用できるので是非お試しください。