サムライの姿勢 第10話 腰痛にならないお尻の使い方

 さて、今回から3話連続で「腰痛にならないお尻の使い方」をご紹介していきます。

「ブラジルのお尻」

 ブラジル人は、「世界一セクシーなお尻」をもつ国民だと思います。
 尻フェチの私には、天国のような場所でした。20歳のとき、リオで開催されたビーチサッカー世界選手権に参戦したときのこと。コパカバーナ・ビーチで、それまで見たことのないブリッとしたお尻(ブンダ)を見て驚きました。
 
日本人のように「四角い尻」ではなく、桃のように「丸いお尻」。 
 仲間の選手たちとビーチで遊んでいたら、「あなたちは、何をやっている人の?」と女の子たちに質問され、サッカー選手だと答えると「だったら太ももを見せて」とリクエストされました。海パンの裾をたくし上げて、太ももを見せると「ワォ!本当にそうなんだ!かっこいい!」と、態度が一変して急に好意的になったのです。
 
 これは日本では考えられないことです。お尻や太ももが立派であっても、それがモテる要因にはならないからです。
ラテン系の国々では、異性の体を見るときに、お尻に注目する人が多いようですが、これは理に叶った見方だと思います。お尻は、推進力と跳躍力を生み出す「人体のエンジン」であり、肉体的な強さを表す重要なパーツだからです。

「衰えゆくお尻たち」

 以前、「男はお尻で選びなさい」というタイトルの本が流行りました。「他人の目につく上半身ばかり鍛える人は、見せかけの軽い男」。「鍛えても目立たないうえに、きつい下半身のトレーニングを黙々とやる男は、忍耐強くてタフだ」というのが、筆者の意見でした。トレーナーとして、この意見には賛成です。
 
近年では、重い物を持ち上げたり、しゃがんで作業したりするなど、お尻を使った肉体労働が激減したため、現代人の「尻力」は萎える一方です。
お尻の力と機能が低下するということは、即ち、生物としての生命力が衰えていると言っても過言ではありません。腰痛を患う人が増え続けているのも、尻力の弱化と関係しているのです。

「知られざるお尻の威力」

 ゴリラのお尻よりも、3倍くらい大きい人間のお尻には、知られざる力が秘められています。その力を使わずにいるのは、実に勿体ないことです。
 あらゆるシーンで、「お尻=股関節」を上手に使いこなせたら、今よりもずっと楽に暮らせることでしょう。
 
今回は、「立っているときのお尻の使い方」をマスターしましょう。
 人は老いると猫背になっていきますが、その原因は、お尻が弱るからです。立っているときに、お尻の割れ目を軽く締めるように意識して下さい。割れ目に紙を挟んで、抜けないようにする感じです。これだけで、骨盤の傾きがロックされて体が前のめりや、猫背になりません。  
 
その効果を体感するために、お尻の割れ目を締めたままお辞儀をしてみて下さい。すると、上体が前に倒れないことがわかるでしょう。お尻を締めずにお辞儀すると、どこまでも上体が前傾して背筋が丸まります。
 二足歩行を可能にしているのは、お尻の力なのです。
 
生涯、凛とした姿勢を保つためには、筋トレよりもお尻を締めて立つ習慣を身につける方が、ずっと効果があります。継続していれば、何歳になってもブリッと上がったお尻をキープできるでしょう。