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ギックリ腰のメカニズム

 17日の番組で紹介する「利き尻」とは、座ったときにより多く荷重する側の尻のことを指しています。
「利き尻」は、視聴者にイメージしてもらいやすくするための「造語」であり、医学用語ではありませんので予めご了承ください。

 さて、本話ではギックリ腰のメカニズムについて、より詳しく補足説明をしたいと思います。
骨盤が後方に傾いて腰が丸まった状態を「腰がオフ」と呼びます。
腰がオフのときは、腰椎の椎間関節(ついかんかんせつ)の隙間が離れてしまっているため、骨と骨による「安全ストッパー」が外れた無防備な状態になります。
この状態では、急に動き出したり、動作を切り替えたときに関節が過度に動いてしまい、ギックリ腰が発生するリスクが高まります。

 腹筋や背筋を鍛えていても、関節の安全ストッパーが外れていたら、ギックリ腰のリスクは抑えられないのです。
実際、100kg以上のバーベルを何回も挙上できるアスリートでさえ、1kgにも満たない物を持ち上げようとしたときに、ギックリ腰をやってしまうケースがよくあります。これも、腰がオフになったままで屈んだためです。

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「なんで机の上のコップに手を伸ばしたくらいでギックリ腰になるの?」、「床に落ちた物を拾おうとして屈んだらビキツ!となった」
ギックリ腰を患った人たちは、みんな不思議そうに言います。
 腰がオンになって椎間関節が安定した状態でなければ、くしゃみや咳、洗顔、靴下を履くだけの動作でもやってしまうのです。。
 
多くのデスクワーカーが腰を丸めた姿勢で、毎日何時間も座っていますが、これは椎間板を変形させ、脊柱に付着する靭帯と筋膜にダメージを蓄積させます。
知らないうちに、「腰痛の苗」を成長させてしまっている人が殆ど、ある日のある動作を契機に腰痛を自覚し、そのまま慢性化のコースを辿っています。

 では、どうすればギックリ腰や慢性腰痛にならずに済むのか。
それは、骨盤を立てて腰がオン(腰に緩やかな反り)になっている姿勢を、少しでも長く保つことです。
 この状態は、腰の安全ストッパーが効いているため、そうそう簡単には腰椎の関節がズレることはなく、ギックリ腰にもなりません。

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 因みに、屈むときやしゃがむとき、それから骨盤を回旋させるときは、下の画像が示すように、大腿骨の骨頭(ボール)のうえを寛骨臼(ソケット)が回転するのが理想です。

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 しかしながら、加齢や座りっぱなしの生活、片側の脚に荷重して休む癖などによって、股関節に付着する筋肉が短縮・硬化すると、大腿骨の上を寛骨が回転する動きが制限されてしまい、腰椎を過剰に丸めて屈もうとします。中年以降になると、ほとんど骨盤の前方回転がなくなって、腰椎だけを屈曲させるようになるのが一般的です。
 これが腰を痛める原因であり、ギックリ腰を再発させる元になるのです。

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 (屈むときは椎間板と棘上・棘間靭帯へのストレスが増し、回旋のときは椎間板と半月板へのストレスが増大する)
 椎間板と半月板は兄弟で、お互い過度な圧縮力と捻れのストレスに対しては弱いため、足部と股関節の可動性が低下すると、両方とも損傷するリスクが高まります。

 腰を傷めずに暮らしていくためには、できるだけ腰をオンにした状態を保ち、動き出す前には必ず骨盤を立てて腰をオンにし、
臍下3㎝のあたりに少し引っ込めておくことです。

 下腹を引っ込めるか、オシッコを止める意識をするだけで、お腹のインナーコルセットである腹横筋が働いて、腰椎の過度なズレを防いでくれます。
また、動作をする前に「これから、屈むぞ」「これから、これを持ち上げるぞ」と、頭の中でイメージしておくと、腰椎を安定させるのに必要な分だけ、脳が腹部をかたくしてストレスに備えるのです。

 寝ぼけているときやイライラしているときに、ギックリ腰が発生しやすいのは、これから行う動作に対して腹部の準備ができていないからです。
上記のことを実践していけば、ギックリ腰を再発させることはなくなりますので、是非お試し下さい。

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FRIDAY掲載

明日8/5に発売されるFRIDAYの腰痛特集に、セルフケアのメニューを掲載しています。
オフィスで簡単にできるものばかりですが、しっかりと効果を実感できるはずです。
是非、コンビニなどでご覧下さい。

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第3回坐骨神経痛にならない座り方

座りっ放しの生活がもたらす悪影響

 多くの人は1日の大半を椅子に座って過ごしています。座りっぱなしの暮らしは、糖尿病と肥満のリスク、心筋梗塞などによる死亡率を高めることが、最近の研究で明らかになっています。

また、お尻と太腿の裏が座面によって圧迫されるため、筋肉への血流が阻害されることによる痛み(虚血性疼痛)と、坐骨神経が圧迫されることによって坐骨神経痛を患うリスクも高まります。腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の罹患リスクも然りです。

 マロッズに来院されるクライアントさんでも、1日6時間以上座っている方は殿部と大腿部の筋肉がうっ血して、パンパンに張っているケースが非常に多く認められています。

運動による疲労で筋肉が硬くなる場合と違って、同一姿勢(デスクワークなど)によって筋肉が硬くなった場合は、筋肉の緊張を落として、関節の可動性を回復させるのに倍以上の時間と労力を要します。
 使いすぎた筋肉は休ませれば良いのですが、使わなすぎたことによって、萎縮や筋膜の癒着、関節の拘縮を起こした筋肉や関節の機能改善には、特異的なケアと運動療法を施す必要があります。

 かつてニーチェは「可能なかぎり座るな」と言ったそうですが、椅子に座りっ放しの暮らしが人体に悪影響を及ぼすことを知っていたのでしょう。

坐骨神経痛にならない座り方

 座り続けることが体に良くないと分かっていても、デスクワークが中心になった現代では、そうせざるを得ない方が大勢います。
 しかしながら、「自分はデスクワーカーだから仕方ない」と諦めてしまったら、前述したような身体的不調だけでなく、抑うつやパニック障害など精神的な不調をきたす恐れもあります。自律神経のバランスを崩してしまったら、それこそ大変です。
 どんな問題も潜伏期間があって、自覚症状が現れた頃には、かなり状態が悪くなっているケースが多いのです。
デスクワーカーは、立ったまま仕事をするわけにもいかず、座業による身体リスクを回避するのは容易ではありません。

 そこで今回は、毎日長時間座っているデスクワーカーや受験生の方々に、悪影響を最小限にする座り方をご紹介したいと思います。
今連載では、坐骨神経痛の予防と改善がメインテーマになっていますが、他の腰痛症状や背中の痛み、股関節の問題、首肩の凝りの予防・改善にもなります。

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 イラストに示すように、椅子の先端に座ることを「端座」と呼びます。端座は太腿の裏側を圧迫する面積が小さいため、通常の座り方に比べて坐骨神経痛、むくみ、冷え性になるリスクが大幅に下がります。

椅子に深く座ってしまうと太腿が固定されてしまい、下肢を自由に動かすことができませんが、端座の場合では下肢を自由に動かすことができます。

 深く腰掛けないと骨盤が安定しないように思われるかも知れませんが、自転車のサドルをイメージしてみて下さい。あんなにお尻を支える面積が小さいのに、しっかりと骨盤をサポートして力強くペダルを漕ぐ動作を支えています。本来、骨盤は恥骨と坐骨の3点が支えられていれば安定する構造なのです。
むしろ、支える面積を増やした方が骨盤の安定性が損なわれてしまい、弊害が増える場合もあります。

 見た目は悪くても、ときどき貧乏ゆすりや小さく足踏みすることが、坐骨神経痛の予防・改善だけでなく、下肢の状態を良好に保つために不可欠なのですが、それを果たすためには端座がとても有効です。

 端座なら骨盤を立てやすい(立腰)ので、姿勢の基本であるニュートラルポスチャーも維持しやすくなります。理想的な座り姿勢を保つために、端座+脚を30〜40度開脚して強くお勧めします。脚を閉じて座ると骨盤が後傾して猫背になってしまうで、できる限り閉脚して座るのは避けて下さい。

骨盤が後傾した座り姿勢

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立腰にした座り姿勢

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 どんなに良い姿勢でも座り続けていると、一部の組織にストレスが蓄積してしまうので、30分に一度椅子から立ち上がって1分ほど歩きながら休憩して、椎間板のリセットと下肢の血流を回復させるように心がけましょう。

まとめ

1.30~40度開脚して椅子の先端に座る
2.30分に一度立ち上がって、体をリセットする

 こんなことでも継続していると、座骨神経痛だけでなく、むくみや冷えまで改善されるので、是非トライしてみて下さい。