坐骨神経痛の一例

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 私の腰痛と、症状が酷似している61歳のクライアントさんの画像。

 左臀部から脛にかけて、強い痛みと痺れがあります。
骨盤を中心に戻そうとすると、椎間板ヘルニアによる典型的な坐骨神経痛の症状が誘発されます。
 
痛みで筋肉が硬直して血流が滞り、筋の内圧が上昇し、ふくらはぎと大腿、大殿筋がパンパンに張っていました。
  これが人の体か?という硬さです。坐骨神経痛は、立ち上がると発症し、座ると緩和します。歩き続けることが困難で、ときどきガードレールに寄り掛かって休まざるを得ません。
  重度の坐骨神経痛の辛さ、経験した人にしか理解できないでしょう。
 多くの治療家やトレーナーが、腰痛症の治し方について語っていますが、眠れない、座っていられない程の苦痛は、幾ら勉強しても体験しないことには、核心は語れないでしょう。(腰痛経験者でなければ、腰痛を改善できないと言っているわけではありません)

 昨年末、エジプト行きを断念する羽目になった坐骨神経痛のお陰で、椎間板ヘルニアや坐骨神経痛に対する理解が、より一層深まりました。
 玄関から這うようにして患者さんが入って来ても、今では全く動揺することはありません。
過去の経験を通して、何をすべきで、何をすべきでないか、頭の中で直ぐに戦略が立てられるからです。

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  今回、この症例を挙げたのは、典型的なヘルニアによる神経症状と思いきや、MRIの画像所見には、全く異常が認められなかったケースだからです。
 関節や骨、椎間板などの変形が認められても、全く痛みが発現しないケースもあれば、彼のように構造的な問題がなくても、苦痛で上体が曲がってしまう人も大勢いるのです。

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 だからと言って、NHKスペシャル 腰痛・治療革命〜見えてきた痛みのメカニズムのように、「腰痛の原因は脳にあり!」という考え方に対しては、私は少々否定的な考えをもっています。

毎日12時間、患者さんの体に触れていると、画像診断機器には描出できない、僅かな組織の違いや異常を触知できるからです。(鮨を握る感覚とセンスに近い特殊な感覚)

あの放送があってから、どれだけ多くの方から、「腰痛って、脳に原因があるんですか?」と、尋ねられたことか。
あらゆる手段を尽くした後で、どうしても痛みが改善しない場合に、脳内の鎮痛抑制機構が正常に機能しているのかを語るのであれば理解できますが。

「 画像所見で異常がない→本人が痛みを訴えている→脳内で架空の痛みを作り出している」
自動的にそう考えるのは、触診(センスと経験が重要)や機能的な検査を行わない専門家か、机上の理屈で解決しようとしている人です。

あの番組は、少なからず腰痛患者に誤った印象を与えてしまったのではないかと思います。

私が日々対面しているのは、写真に写らない痛みや機能障害ですが、研ぎ澄まされた手の感覚と、蓄積された経験の組み合わせは、どんなに精密な機械をもってしても敵わないと思っています。

そういう手の感覚とセンスに出会うのは、なかなか簡単なことではありませんが、根気よく探し求めていれば、いつかチャンスはやってくるはず。

尻や脛の痺れがある場合、L4〜S1の椎間板ヘルニアを 疑うのが通例ですが、Th12〜L3に形成されたtrigger pointが坐骨神経痛の原因となっている場合が、少なくありません。

テキストや教科書には載っていませんが、実際に、この部位(腰腸肋筋、胸最長筋、腰方形筋 外側縁のTP)のtrigger pointを圧迫すると、仙骨外縁と腓骨部が痙攣します。

 trigger pointを完全に消失させることは不可能ですが、ある程度散らすことができれば、重度の坐骨神経痛であっても大幅に改善します。

上の画像を見る限りでは、1回のセッションで状態は好転しましたが、次に会ったときに維持できている保証はありません。 ヒトの体を治すことは、本人の行動変容が伴わない限り、本当に難しいことです。

玄関で患者さんを見送るとき、アドバイスをした事を実践して、少しでも改善して戻ってきてくれることを願っています。

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雑誌 女性自身 予約が取れない人気ゴッドハンドが教える”誰でもできる健康法 簡単裏ワザ

 本日、雑誌 女性自身のweb上で、「予約が取れない人気ゴッドハンドが教える”誰でもできる健康法 簡単裏ワザ」というコーナーに記事が掲載されました。3回の連載で、腰痛のセルフケアと、腰を傷めない股関節の使い方にスポットを当てています。

女性自身 予約が取れないゴッドハンドの健康法&裏ワザ

これまでは、どんなメディアであれ紹介されるときに「カリスマ」や「ゴッドハンド」といった、胡散臭い冠を付けられることを拒否してきました。
如何にも胡散臭くて安っぽいし、はばったいから。
本企画に限っては、「読者に有益な情報を発信する」という主旨がしっかりとしていて、ブレていなかったので、オファーを受諾しました。
腰痛の根治は、受け身だけでは不十分です。
 
 腰に持続的かつ過大なストレスを与えている不良な姿勢と、誤った動作パターンを改善しない限り、根治と再発リスクを0に近づけることはできないのです。
殆どの慢性の腰痛患者は、1日の大半を腰を丸めて過ごしています。座っているときも、屈んで用事をするときも、物を持ち上げるときも…。
この腰部を支点にした動作パターンを、出来るだけ早期に見直して、背骨のS字を維持したまま、出っ尻で屈む「ヒップヒンジ」を、脳に刷り込む必要があります。

 逆に言えば、ヒップヒンジをマスターして、生活動作に組み込めたら、少なくともギックリ腰には二度となりません。

 今回の企画では、ヒップヒンジのやり方から始まり、腰に負担を集中させない座り方、椅子から安全に立ち上がる方法など、日常生活で直ぐに活かせる事だけに絞って紹介しています。
予防医学的な意味も含めて、腰痛の自覚症状がない方にもオススメです。

パーキンソン病

これまで、パーキンソ病と闘っている患者さんを、15人ほど担当してきました。
 専門外ではありますが、罹患された方の不安と不調を、少しでも軽減できればと、あれこれ工夫してきました。

 先日いらしたシニアの女性も、長年パーキンソ病と向き合ってこられた方で、問診中も軽度の振戦が認められました。
 彼女は、アメリカに長く滞在され、教師をされていました。良い意味で、アメリカ人的な大らかさと、アグレッシブさがありました。
 そして、 少しでも良くしたいという、強い意志が伺えました。

 人は、極度の不安に陥ったり、大病したりすると、体が萎縮します(屈曲・内転・内旋) 。
 著書を読んで来院されたこの女性も、問診の時点では体全体が硬直+萎縮していました。

 姿勢検査と運動器の機能をテストして、陥っている歪みのパターンを指摘し、改善する為の方法を助言すると、激しく同意し、運動療法を実践してくれました

 この女性の既往歴は複雑で、過去の病気や怪我が絡み合って、スウェイバック姿勢で、下半身が極端に右回旋していました。
 拘縮・癒着した部位を施術すると、極端な姿勢の非対称性が改善して、動作も大幅にスムーズになりました。
 可動性が改善した後は、歪みのパターン病から抜け出すための動的ストレッチを指導。
 この時点で、画像の通り姿勢のシンメトリーは、かなり改善していました。

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セッション前。下半身全体が右回旋している。

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セッション後

 姿勢が整った後は、歩行フォームのチェック。
「骨盤が左へシフトし易いから、歩くときは左手を腰に置いて、いつもより20%速度を上げて」と指示すると、今度は「そんなに早く歩かなくていいから!」と、こちらが慌てるほど、スタスタと歩き始めました。まるで、別人の様です。

  パーキンソン病が、難病であることに変わりはありませんが、意識的に動かしていかないと、二次的、三次的な機能不全が発現します。
 0か100で考えるのではなく、少しずつコンディションを上げていこうとする志勢が大事かなと思います。

「日本では、パーキンソ病のリハビリを人任せにして、自分で治そうとする人が少ないわね」と、仰っていましたが、それは他の疾病・疾患にも当てはまる事でしょう。四十肩や腰痛症のリハビリでも、誰かが治してくれると思っている方が大勢います。

 帰り際に、「話を聴いて不安が減り、希望が持てました」と言って下さった事が、何よりのご褒美になりました。
 もっと良くしてあげたい。思うことは、それだけです。

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上手にしゃがむコツ

〜しゃがむ〜

ヒトは生まれて10ヶ月もすると、誰に教わることもなく、完璧なフォームでしゃがみ、立ち上がれるようになります。
しゃがむ動作は最も大事な動作パターンであり、出来ることなら死ぬまで維持したいものです。

しかしながら、大人になると踵が床に接地した状態で、しゃがめなくなってしまいます。
しゃがむと直ぐに踵が浮いてしまうか、上体が過度に前傾してしまうケースが多く見られます。

運動指導者として考えるべき事は、深くしゃがめないクライアントに、バーベルを担いでスクワットさせる必要があるのか、ということです。
「スクワットやデットリフト、ベンチプレスは大事だから」と、盲目的にやらせてしまう指導者もいますが、ナンセンスです。
筋力アップのためのエクササイズは、適切な動作パターンの習得をしてからのステップだからです。

ウェイトトレーニングの種目には、日常生活やスポーツに反映できない「エクササイズのためのエクササイズ」が沢山あります。
頑張ったことのメリットは、「その種目」が得意になるだけで、動きが鈍臭くなってしまう場合も多い。

さて、上手にしゃがむ、もしくはスクワットするために、先ずやるべきことは、脳にエンド・ポジションを覚えさせることです。
「あ、このカタチに収まれば良い」のだと。これは全ての種目に該当することです。

リバース・パターニング・スクワットと言いますが、椅子や柱につかまって、安定した状態で深くしゃがんでみる。
ある人はスタンスを広くとる必要があるかも知れませんし、つま先を15度以上開く必要があるかも知れません。
誰かが作った「スクワットのルール」に従うことよりも、自分が快適にしゃがんでいられるスタンスの方が大事です。

つかまって深くしゃがみ、少し踵に荷重して感覚を入れたら、下腹・脇腹を張らせて4〜5呼吸する。お手本は、相撲の蹲踞。
立ち上がる時は、踵で床を真下に押しながら、頭を真上に運ぶように意識する。

立ち上がったら、「さっきのカタチ」に戻るだけです。脳がエンド・ポジションを理解していると、驚くほどスムーズにスタート・ポジションに戻ります。
動作の途中でアドバイスする必要がないくらい、脳が姿勢と動作を適確にコントロールしてくれます。

スクワットが上手くできない方、つかまって楽にしゃがめるスタンスを見つけることからトライしてみて下さい。IMG_6108

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ハムストリングスの重要性

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スクワットで上体が過度に前傾してしまう人が大勢います。前脛骨筋や広背筋のタイトネスの改善に取り組むよりも、ハムストリングを収縮させて、少し骨盤を後傾位に保つことを身につけてもらえば、誰でも見事なフォームでしゃがめるようになります。

スクワットで腰を痛めてしまう人は、下腹部と脇腹を膨らませて硬くするブレーシングが出来ていないか、動作中にハムストリングスを働かせていない可能性が大です。
自重のみでしゃがめない人が、バーバルを担いでスクワットをするのはナンセンスであり、自ら腰痛になっているようなものです。

日常生活においてもハムストリングスを働かせて、骨盤を少し後傾すること+踵に荷重することの重要性は、いくら強調してもし過ぎることはないでしょう。

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サムライの姿勢 最終回「腰痛持ちの賢い暮らし方」

 サムライの姿勢は最終回を迎えます。おかげさまで、最後までやり終えられたことを読者の皆様と、ニッケイ新聞の方々に感謝申し上げます。
 
 さて、本話では腰痛を発症させないセルフケアについてお話します。
最近では、筋膜を緩める健康グッズが通信販売などで手軽に購入できるようになりました。アイテムを購入しなくても、テニスボールやソフトボールで代用することもできます。
 
 前号で下半身のコンディショニングの重要性についてお伝えしましたが、アプローチする順番も大事で、マッサージの効果に影響があります。
股関節の動きを維持して、腰への負担を減らすために、スネ→ふくらはぎ(主に外側)→お尻の外側→仙骨の順でほぐしていきます。

【腰痛の発症を予防するセルフマッサージ】

① スネとふくらはぎ

 加齢とともに脛の前の筋肉の機能が衰えます。つまずきやすくなったり、深くしゃがめなくなったりするのは、スネの筋肉が硬くなっているサインです。
 スネの筋肉の機能は、足関節とひざ関節の機能だけでなく、股関節の可動性にも大きな影響を与えます。仰向けで寝ると腰が反って痛みが出る場合は、スネの筋肉をほぐすと改善されるはずです。
 ふくらはぎの外側には、太い神経が走っているため、この部分が硬くなると痺れや感覚の異常が起きやすくなります。
 画像のように、スネとふくらはぎの外側の疲労と強張りを、定期的にマッサージすることによって、脚全体のコンディションが改善されて、坐骨神経痛の改善・予防に繋がるでしょう。

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② 太ももの付け根と尻の外側

 太ももの付け根と尻の外側が凝ると、股関節の機能とスネに鈍痛を放散させます。普通に暮らしていても、この部位には疲労が蓄積しやすく、気づかないうちに凝っています。膝を胸に引き寄せた時に、太ももの付け根が引っかかるような感じがしたら要注意です。
 ここをマッサージ&ストレッチすれば、足先への血流が改善されるだけでなく、膝を胸に引き上げたり、股関節を回したりする動きが大変楽になります。

③ 仙骨

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写真3=仙骨をほぐすマッサージの様子

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写真4=梨状筋をほぐしている様子

 仙骨は体の屋台骨として、背骨を支える重要な骨です。仙骨に付着している筋膜と深部の筋肉が強張ると、屈んだときやしゃがんだときに腰にピリッとした痛みが生じるため、椅子から立ち上がる動作もぎこちなくなります。この部分をボールでほぐせば、右記の動作だけでなく歩き易さが格段に向上します。
 もう一つ、仙骨の脇も大事です。この部位には、坐骨神経の上を通る「梨状筋(りじょうきん)」という筋肉があって、この筋肉が緊張すると坐骨神経をダイレクトに締め付けて、お尻から踵まで広範囲に痛みや感覚異常が生じます。
 多くの場合、脚を組んでいる側の梨状筋が短縮する傾向にあって、坐骨神経痛が発生しやすいと言えます。足がぼんやりと痺れている人や、屈む動作に不安がある方は、是非ともこの部分を入念にほぐしてみて下さい。

【マッサージのコツ】

 ボールマッサージのコツは、少しずつボールが当たっている場所をずらして、ズーンと響く場所を探すことです。響くところにトリガーポイントと呼ばれるシコリが隠れていて、そこが痛みの震源地なのです。
 思わず「ああ! そこだ!」「そこそこ!」と言ってしまう部位が見つかったら、そこを15秒から20秒間圧迫して下さい。2〜3回繰り返すと、強い痛みから心地よい痛みへと変わっていくはずです。圧迫する強さは、10をマックスとしたときに、7を超えないように調整します。
 セルフマッサージは、歯磨きと同じで一生続けていくものです。面倒に思う方もいらっしゃるかも知れませんが、やった分の恩恵は確実に得られるので、日々のルーティンワークに取り入れて頂ければと思います。
 それでは皆さん、またお会いしましょう。

 伊藤和磨 拝

ヘルニア2月

椎間板ヘルニアの経過

3日前に信濃町にある某大学病院でMRIを撮ってきました。
嬉しい事に、11月に撮ったときよりも、椎間板ヘルニアは小さくなっていました。症状は、疲労が蓄積すると左脚の脛に軽い違和感が出る程度です。

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11月に撮影したときの画像

ヘルニア2月

2月22日の画像 ヘルニアが狭小化して、脊髄への圧が軽減されたように見える

 担当医師は、同大学病院の准教授ですが「なんでヘルニアが小さくなったのか分かりませんが、まあ、良い方向に向かっているということで安心しました。重たい物を持ったりしないで、現状の生活を維持する感じで過ごしてください」というコメント?意見?でした。

 「あのさ、偶然に小さくなったんじゃなくて、アタマ使ってヘルニアが改善するように努力してるんだよ」と言いたい。
  トータルで2時間かかって、診察時間は3分間。指一本カラダに触れることなく、何に気をつけているのか、どんな暮らし方に変えたのか、そんな事すら質問しない。

 病院の診察に対する思いは、新書「腰痛はアタマで治す」に書いたので、今更あれこれ言うつもりはありませんが、あれで診察したことになるんだから。。。敵いません。

 最近、テレビや雑誌で盛んに「85%の腰痛は原因がわからない」と言っているようですが、原因が分からない理由は、シンプルだと私は考えています。

 85%の腰痛症は、画像検査の結果には描出されない軟部組織の機能的な問題に原因があるからです。
 これらの問題は、実際に触診したり抵抗を加えたり、自動・他動で動かさないと原因が特定しにくいのです。
 少なとも、座る姿勢や歩行、下肢の機能、かがみ方や持ち上げ方などのフォームをチェックしなければ、本質的な原因はみえてきません。

「痛みがある場所に原因はない」
リハビリの父であるヤンダ博士の言葉に誠がある。

 腰痛症に限ったことではありませんが、運動器の問題に対して機能と構造の両方から切っていかなければ、100年経っても状況は改善しないでしょう。
 椅子に腰掛けたまま診断するってことは、車のボンネットを開けずにエンジンが故障している場所を言い当てるようなものです。

 機能面から問題を切れば、パンドラの箱を開けることになります。刻々と変化する動きを3次元で分析して解析する必要があるわけですから、静止した写真と睨めっこするのとはワケが違う。

 面倒でも困難でも、一生をかけてそこを追及することが、「専門家」と呼ばれる人たちの使命であり、人から尊敬される職業なのだと思います。 

 先進国のなかで日本の医療レベルは、制度的な問題や既得権者たちの利権を守るために歪められ、大幅に遅れているところが多々あります。
 保険制度に革命でも起こらない限り、腰痛症に対する療法は、これからも進歩しないのかも知れません。

 立場が異なると景色も事情も変わるので、医師にしか分からない事や悩みも沢山あると思います。

 けれども、ベルトコンベアー式の診察という悪しき慣習から抜け出せないままだとしたら、医師としての信頼感と説得力を十分に活かしきれず、とても勿体ないことだと思います。

例えば、下記のテストを実施した場合の所要時間は4〜5分ですが、これだけでも腰痛症の原因を特定するのに、重要な情報が得られます。

1.姿勢検査 2分 (前額面と矢状面で、それぞれ4パターンに振り分ける)
2.座り姿勢のチェック 30秒
3.下肢の可動性チェック 30秒
4.しゃがみ方、屈み方のチェック 30秒
5.荷重バランス5秒 (2つの体重計で計測)

 医師が行わなくても、PTが隣で計測すれば診察時間は延びないはず。

 患者の中には「医者に行っても治してくれない」と勘違いしている方もいますが、医者は診る事が第一の仕事であって、治すのは自分自身です。

 医師には、「結果」ではなく「原因」を丁寧に説明し、何に気を付けていれば予後の悪化を防げるのかを、アドバイスする責務があると思います。

  兎にも角にも、数分の診察時間であっても、双方にとって有意義な時間になるように、もうちょっと工夫して頂きたいと強く願います。

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サムライの姿勢 第19話「腰痛持ちの賢い生き方 その3」

【生命線は股関節】

 先日、「腰痛」をテーマにした健康バラエティ番組に出演しました。スタジオのモニターにVTRが流れ、数人の整形外科たちが次々と登場してインタビューに答えていました。各々が「85%の腰痛は原因がわかっていません」と、お手上げ的な表情でコメントしていました。

 「原因が分からないのは画像検査の結果だけ見て、姿勢分析や下半身の機能テスト、触診をしていないからだろう」と発言したい気持ちをグッと堪えていました。
 私の他に2名の整形外科医が隣にいましたが、彼ら自身が腰痛を経験したことがないので、腰痛の問題を本質から捉えられているとは感じませんでした。
 骨盤や背骨は、宙に浮いているわけではなく、2つの脚の上に載っているため、脚の機能の影響を多分に受けています。なかでも、足関節と股関節の機能がとても重要で、ここが正常に動かないと確実に膝と腰への負担が増大します。

 股関節の構造は、大たい骨の先端にある「ボール」(大たい骨頭)が、かん骨の「ソケット」(かんこつ臼)にハマるかたちになっています。大たい骨のボールを軸として骨盤が前後に回転したり、左右に回転したりすることにより、しゃがんだり屈んだり、体を捻ったりできるのです。

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 しかし、歳をとるにつれて股関節に付着している筋肉や靱帯、関節包が癒着や硬化して、本来の機能を果たせなくなってしまうため、膝や腰にかかる負担が増大します。これが蓄積疲労となって、膝痛や腰痛を起こす原因になるのです。
 つまり、股関節に付着するお尻と太ももの筋肉を、いかにして柔らかく可動性を保つかが、腰痛持ちにとっての生命線となるのです。

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【どこをほぐせば良いのか】

 変形した椎間板や関節を元どおりに整復することは、容易ではありません。では、椎間板ヘルニアや脊柱管狭さく症と診断されてしまったら、一生腰痛に苦しまなければいけないのでしょうか。そんな事はありません。

  足首と股関節の筋肉が短縮・硬化しないように、「ポイント」になる部分のセルフケアをしていれば、腰痛が再発するリスクは極めて小さくなります。
 そのポイントとは、尻と膝裏、すねとふくらはぎの外側です。これらの部位は、腰から足先まで繋がっている太い神経の通り道でもあります。
 解剖実習のときに、検体の脚の神経を殿部から足先まで見られるように解剖していくと、太い神経が太ももやふくらはぎの筋膜にベッタリと癒着しているのが分かりました。
 
 そして、つま先を手前に返すと、坐骨神経が下方に引っ張られる様子もハッキリと目視できました。
要するに、太ももやふくらはぎの筋肉の硬さと長さが、腰部の神経にまで影響を及ぼすということです。もともとヘルニアや関節の変形によって、神経が圧迫されやすくなっている人は、健常者よりも神経症状が出るリスクが圧倒的に高いと言えます。

 これまで、坐骨神経痛など下肢に広がる痛みや痺れは、腰部のヘルニアの治療をしなければ改善できないと考えられてきました。しかしながら、下半身の筋肉をマッサージやストレッチをして柔らかく保つことによって、神経を引っ張るストレスを和らげて、腰痛の再発を回避することができるのです。

 私自身、昨年末からテニスボールやローラーを使って、お尻、太ももの外側、ふくらはぎ、スネを3日に1度のペースでほぐしていますが、あの違和感は全く出ていません。
 次回が最終回となりますが、お勧めのケアグッズを使って、腰痛の発症を予防・改善する方法を詳しくご紹介したいと思います。

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※筆者が愛用しているセルフケアグッズの画像

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腰痛セミナー開催のお知らせ(一般の患者さん向け)

 2年ぶりに、腰痛でお困りの方を対象にした腰痛セミナーを開催いたします。
テレビや雑誌、書籍では伝えられなかったコアな事や、最新の腰痛療法についてお話しします。
 腰に負担をかけない「カラダの使い方」が身につくように、座学よりも実技にウェイトをおいて進行していきます。

 私自身の腰痛経験も踏まえた、超実践的な腰痛セミナーです。 
長年モヤモヤしてきた事が、きっと晴れるはずです。奮ってご参加下さい。

【腰痛の穴】
日時  4月15日(土)11:00~12:40
場所  中目黒区役所男女平等共同参画センター(仮)
参加費 4000円

参加希望の方は下記のフォーマットをコピーの上、team@maros.jpまでメールをお送り頂くか、予約ページの必須事項に記入の上、備考欄に「腰痛セミナー参加希望」と書いて送信してください。セミナー代金のお支払い方法など、詳細をメールでお送り致します。

【御名前】

【住所】

【ご年齢】

【ご職業】

【御連絡先】

【ご質問など】

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ギックリ腰のメカニズム

 17日の番組で紹介する「利き尻」とは、座ったときにより多く荷重する側の尻のことを指しています。
「利き尻」は、視聴者にイメージしてもらいやすくするための「造語」であり、医学用語ではありませんので予めご了承ください。

 さて、本話ではギックリ腰のメカニズムについて、より詳しく補足説明をしたいと思います。
骨盤が後方に傾いて腰が丸まった状態を「腰がオフ」と呼びます。
腰がオフのときは、腰椎の椎間関節(ついかんかんせつ)の隙間が離れてしまっているため、骨と骨による「安全ストッパー」が外れた無防備な状態になります。
この状態では、急に動き出したり、動作を切り替えたときに関節が過度に動いてしまい、ギックリ腰が発生するリスクが高まります。

 腹筋や背筋を鍛えていても、関節の安全ストッパーが外れていたら、ギックリ腰のリスクは抑えられないのです。
実際、100kg以上のバーベルを何回も挙上できるアスリートでさえ、1kgにも満たない物を持ち上げようとしたときに、ギックリ腰をやってしまうケースがよくあります。これも、腰がオフになったままで屈んだためです。

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「なんで机の上のコップに手を伸ばしたくらいでギックリ腰になるの?」、「床に落ちた物を拾おうとして屈んだらビキツ!となった」
ギックリ腰を患った人たちは、みんな不思議そうに言います。
 腰がオンになって椎間関節が安定した状態でなければ、くしゃみや咳、洗顔、靴下を履くだけの動作でもやってしまうのです。。
 
多くのデスクワーカーが腰を丸めた姿勢で、毎日何時間も座っていますが、これは椎間板を変形させ、脊柱に付着する靭帯と筋膜にダメージを蓄積させます。
知らないうちに、「腰痛の苗」を成長させてしまっている人が殆ど、ある日のある動作を契機に腰痛を自覚し、そのまま慢性化のコースを辿っています。

 では、どうすればギックリ腰や慢性腰痛にならずに済むのか。
それは、骨盤を立てて腰がオン(腰に緩やかな反り)になっている姿勢を、少しでも長く保つことです。
 この状態は、腰の安全ストッパーが効いているため、そうそう簡単には腰椎の関節がズレることはなく、ギックリ腰にもなりません。

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 因みに、屈むときやしゃがむとき、それから骨盤を回旋させるときは、下の画像が示すように、大腿骨の骨頭(ボール)のうえを寛骨臼(ソケット)が回転するのが理想です。

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 しかしながら、加齢や座りっぱなしの生活、片側の脚に荷重して休む癖などによって、股関節に付着する筋肉が短縮・硬化すると、大腿骨の上を寛骨が回転する動きが制限されてしまい、腰椎を過剰に丸めて屈もうとします。中年以降になると、ほとんど骨盤の前方回転がなくなって、腰椎だけを屈曲させるようになるのが一般的です。
 これが腰を痛める原因であり、ギックリ腰を再発させる元になるのです。

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 (屈むときは椎間板と棘上・棘間靭帯へのストレスが増し、回旋のときは椎間板と半月板へのストレスが増大する)
 椎間板と半月板は兄弟で、お互い過度な圧縮力と捻れのストレスに対しては弱いため、足部と股関節の可動性が低下すると、両方とも損傷するリスクが高まります。

 腰を傷めずに暮らしていくためには、できるだけ腰をオンにした状態を保ち、動き出す前には必ず骨盤を立てて腰をオンにし、
臍下3㎝のあたりに少し引っ込めておくことです。

 下腹を引っ込めるか、オシッコを止める意識をするだけで、お腹のインナーコルセットである腹横筋が働いて、腰椎の過度なズレを防いでくれます。
また、動作をする前に「これから、屈むぞ」「これから、これを持ち上げるぞ」と、頭の中でイメージしておくと、腰椎を安定させるのに必要な分だけ、脳が腹部をかたくしてストレスに備えるのです。

 寝ぼけているときやイライラしているときに、ギックリ腰が発生しやすいのは、これから行う動作に対して腹部の準備ができていないからです。
上記のことを実践していけば、ギックリ腰を再発させることはなくなりますので、是非お試し下さい。