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ハムストリングスの重要性

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スクワットで上体が過度に前傾してしまう人が大勢います。前脛骨筋や広背筋のタイトネスの改善に取り組むよりも、ハムストリングを収縮させて、少し骨盤を後傾位に保つことを身につけてもらえば、誰でも見事なフォームでしゃがめるようになります。

スクワットで腰を痛めてしまう人は、下腹部と脇腹を膨らませて硬くするブレーシングが出来ていないか、動作中にハムストリングスを働かせていない可能性が大です。
自重のみでしゃがめない人が、バーバルを担いでスクワットをするのはナンセンスであり、自ら腰痛になっているようなものです。

日常生活においてもハムストリングスを働かせて、骨盤を少し後傾すること+踵に荷重することの重要性は、いくら強調してもし過ぎることはないでしょう。

20170303-Jornal Nikkey Shimbun p6 Samurai 20

サムライの姿勢 最終回「腰痛持ちの賢い暮らし方」

 サムライの姿勢は最終回を迎えます。おかげさまで、最後までやり終えられたことを読者の皆様と、ニッケイ新聞の方々に感謝申し上げます。
 
 さて、本話では腰痛を発症させないセルフケアについてお話します。
最近では、筋膜を緩める健康グッズが通信販売などで手軽に購入できるようになりました。アイテムを購入しなくても、テニスボールやソフトボールで代用することもできます。
 
 前号で下半身のコンディショニングの重要性についてお伝えしましたが、アプローチする順番も大事で、マッサージの効果に影響があります。
股関節の動きを維持して、腰への負担を減らすために、スネ→ふくらはぎ(主に外側)→お尻の外側→仙骨の順でほぐしていきます。

【腰痛の発症を予防するセルフマッサージ】

① スネとふくらはぎ

 加齢とともに脛の前の筋肉の機能が衰えます。つまずきやすくなったり、深くしゃがめなくなったりするのは、スネの筋肉が硬くなっているサインです。
 スネの筋肉の機能は、足関節とひざ関節の機能だけでなく、股関節の可動性にも大きな影響を与えます。仰向けで寝ると腰が反って痛みが出る場合は、スネの筋肉をほぐすと改善されるはずです。
 ふくらはぎの外側には、太い神経が走っているため、この部分が硬くなると痺れや感覚の異常が起きやすくなります。
 画像のように、スネとふくらはぎの外側の疲労と強張りを、定期的にマッサージすることによって、脚全体のコンディションが改善されて、坐骨神経痛の改善・予防に繋がるでしょう。

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② 太ももの付け根と尻の外側

 太ももの付け根と尻の外側が凝ると、股関節の機能とスネに鈍痛を放散させます。普通に暮らしていても、この部位には疲労が蓄積しやすく、気づかないうちに凝っています。膝を胸に引き寄せた時に、太ももの付け根が引っかかるような感じがしたら要注意です。
 ここをマッサージ&ストレッチすれば、足先への血流が改善されるだけでなく、膝を胸に引き上げたり、股関節を回したりする動きが大変楽になります。

③ 仙骨

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写真3=仙骨をほぐすマッサージの様子

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写真4=梨状筋をほぐしている様子

 仙骨は体の屋台骨として、背骨を支える重要な骨です。仙骨に付着している筋膜と深部の筋肉が強張ると、屈んだときやしゃがんだときに腰にピリッとした痛みが生じるため、椅子から立ち上がる動作もぎこちなくなります。この部分をボールでほぐせば、右記の動作だけでなく歩き易さが格段に向上します。
 もう一つ、仙骨の脇も大事です。この部位には、坐骨神経の上を通る「梨状筋(りじょうきん)」という筋肉があって、この筋肉が緊張すると坐骨神経をダイレクトに締め付けて、お尻から踵まで広範囲に痛みや感覚異常が生じます。
 多くの場合、脚を組んでいる側の梨状筋が短縮する傾向にあって、坐骨神経痛が発生しやすいと言えます。足がぼんやりと痺れている人や、屈む動作に不安がある方は、是非ともこの部分を入念にほぐしてみて下さい。

【マッサージのコツ】

 ボールマッサージのコツは、少しずつボールが当たっている場所をずらして、ズーンと響く場所を探すことです。響くところにトリガーポイントと呼ばれるシコリが隠れていて、そこが痛みの震源地なのです。
 思わず「ああ! そこだ!」「そこそこ!」と言ってしまう部位が見つかったら、そこを15秒から20秒間圧迫して下さい。2〜3回繰り返すと、強い痛みから心地よい痛みへと変わっていくはずです。圧迫する強さは、10をマックスとしたときに、7を超えないように調整します。
 セルフマッサージは、歯磨きと同じで一生続けていくものです。面倒に思う方もいらっしゃるかも知れませんが、やった分の恩恵は確実に得られるので、日々のルーティンワークに取り入れて頂ければと思います。
 それでは皆さん、またお会いしましょう。

 伊藤和磨 拝

ヘルニア2月

椎間板ヘルニアの経過

3日前に信濃町にある某大学病院でMRIを撮ってきました。
嬉しい事に、11月に撮ったときよりも、椎間板ヘルニアは小さくなっていました。症状は、疲労が蓄積すると左脚の脛に軽い違和感が出る程度です。

ヘルニア11月
11月に撮影したときの画像

ヘルニア2月

2月22日の画像 ヘルニアが狭小化して、脊髄への圧が軽減されたように見える

 担当医師は、同大学病院の准教授ですが「なんでヘルニアが小さくなったのか分かりませんが、まあ、良い方向に向かっているということで安心しました。重たい物を持ったりしないで、現状の生活を維持する感じで過ごしてください」というコメント?意見?でした。

 「あのさ、偶然に小さくなったんじゃなくて、アタマ使ってヘルニアが改善するように努力してるんだよ」と言いたい。
  トータルで2時間かかって、診察時間は3分間。指一本カラダに触れることなく、何に気をつけているのか、どんな暮らし方に変えたのか、そんな事すら質問しない。

 病院の診察に対する思いは、新書「腰痛はアタマで治す」に書いたので、今更あれこれ言うつもりはありませんが、あれで診察したことになるんだから。。。敵いません。

 最近、テレビや雑誌で盛んに「85%の腰痛は原因がわからない」と言っているようですが、原因が分からない理由は、シンプルだと私は考えています。

 85%の腰痛症は、画像検査の結果には描出されない軟部組織の機能的な問題に原因があるからです。
 これらの問題は、実際に触診したり抵抗を加えたり、自動・他動で動かさないと原因が特定しにくいのです。
 少なとも、座る姿勢や歩行、下肢の機能、かがみ方や持ち上げ方などのフォームをチェックしなければ、本質的な原因はみえてきません。

「痛みがある場所に原因はない」
リハビリの父であるヤンダ博士の言葉に誠がある。

 腰痛症に限ったことではありませんが、運動器の問題に対して機能と構造の両方から切っていかなければ、100年経っても状況は改善しないでしょう。
 椅子に腰掛けたまま診断するってことは、車のボンネットを開けずにエンジンが故障している場所を言い当てるようなものです。

 機能面から問題を切れば、パンドラの箱を開けることになります。刻々と変化する動きを3次元で分析して解析する必要があるわけですから、静止した写真と睨めっこするのとはワケが違う。

 面倒でも困難でも、一生をかけてそこを追及することが、「専門家」と呼ばれる人たちの使命であり、人から尊敬される職業なのだと思います。 

 先進国のなかで日本の医療レベルは、制度的な問題や既得権者たちの利権を守るために歪められ、大幅に遅れているところが多々あります。
 保険制度に革命でも起こらない限り、腰痛症に対する療法は、これからも進歩しないのかも知れません。

 立場が異なると景色も事情も変わるので、医師にしか分からない事や悩みも沢山あると思います。

 けれども、ベルトコンベアー式の診察という悪しき慣習から抜け出せないままだとしたら、医師としての信頼感と説得力を十分に活かしきれず、とても勿体ないことだと思います。

例えば、下記のテストを実施した場合の所要時間は4〜5分ですが、これだけでも腰痛症の原因を特定するのに、重要な情報が得られます。

1.姿勢検査 2分 (前額面と矢状面で、それぞれ4パターンに振り分ける)
2.座り姿勢のチェック 30秒
3.下肢の可動性チェック 30秒
4.しゃがみ方、屈み方のチェック 30秒
5.荷重バランス5秒 (2つの体重計で計測)

 医師が行わなくても、PTが隣で計測すれば診察時間は延びないはず。

 患者の中には「医者に行っても治してくれない」と勘違いしている方もいますが、医者は診る事が第一の仕事であって、治すのは自分自身です。

 医師には、「結果」ではなく「原因」を丁寧に説明し、何に気を付けていれば予後の悪化を防げるのかを、アドバイスする責務があると思います。

  兎にも角にも、数分の診察時間であっても、双方にとって有意義な時間になるように、もうちょっと工夫して頂きたいと強く願います。

youtsuu

ギックリ腰のメカニズム

 17日の番組で紹介する「利き尻」とは、座ったときにより多く荷重する側の尻のことを指しています。
「利き尻」は、視聴者にイメージしてもらいやすくするための「造語」であり、医学用語ではありませんので予めご了承ください。

 さて、本話ではギックリ腰のメカニズムについて、より詳しく補足説明をしたいと思います。
骨盤が後方に傾いて腰が丸まった状態を「腰がオフ」と呼びます。
腰がオフのときは、腰椎の椎間関節(ついかんかんせつ)の隙間が離れてしまっているため、骨と骨による「安全ストッパー」が外れた無防備な状態になります。
この状態では、急に動き出したり、動作を切り替えたときに関節が過度に動いてしまい、ギックリ腰が発生するリスクが高まります。

 腹筋や背筋を鍛えていても、関節の安全ストッパーが外れていたら、ギックリ腰のリスクは抑えられないのです。
実際、100kg以上のバーベルを何回も挙上できるアスリートでさえ、1kgにも満たない物を持ち上げようとしたときに、ギックリ腰をやってしまうケースがよくあります。これも、腰がオフになったままで屈んだためです。

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「なんで机の上のコップに手を伸ばしたくらいでギックリ腰になるの?」、「床に落ちた物を拾おうとして屈んだらビキツ!となった」
ギックリ腰を患った人たちは、みんな不思議そうに言います。
 腰がオンになって椎間関節が安定した状態でなければ、くしゃみや咳、洗顔、靴下を履くだけの動作でもやってしまうのです。。
 
多くのデスクワーカーが腰を丸めた姿勢で、毎日何時間も座っていますが、これは椎間板を変形させ、脊柱に付着する靭帯と筋膜にダメージを蓄積させます。
知らないうちに、「腰痛の苗」を成長させてしまっている人が殆ど、ある日のある動作を契機に腰痛を自覚し、そのまま慢性化のコースを辿っています。

 では、どうすればギックリ腰や慢性腰痛にならずに済むのか。
それは、骨盤を立てて腰がオン(腰に緩やかな反り)になっている姿勢を、少しでも長く保つことです。
 この状態は、腰の安全ストッパーが効いているため、そうそう簡単には腰椎の関節がズレることはなく、ギックリ腰にもなりません。

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 因みに、屈むときやしゃがむとき、それから骨盤を回旋させるときは、下の画像が示すように、大腿骨の骨頭(ボール)のうえを寛骨臼(ソケット)が回転するのが理想です。

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 しかしながら、加齢や座りっぱなしの生活、片側の脚に荷重して休む癖などによって、股関節に付着する筋肉が短縮・硬化すると、大腿骨の上を寛骨が回転する動きが制限されてしまい、腰椎を過剰に丸めて屈もうとします。中年以降になると、ほとんど骨盤の前方回転がなくなって、腰椎だけを屈曲させるようになるのが一般的です。
 これが腰を痛める原因であり、ギックリ腰を再発させる元になるのです。

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 (屈むときは椎間板と棘上・棘間靭帯へのストレスが増し、回旋のときは椎間板と半月板へのストレスが増大する)
 椎間板と半月板は兄弟で、お互い過度な圧縮力と捻れのストレスに対しては弱いため、足部と股関節の可動性が低下すると、両方とも損傷するリスクが高まります。

 腰を傷めずに暮らしていくためには、できるだけ腰をオンにした状態を保ち、動き出す前には必ず骨盤を立てて腰をオンにし、
臍下3㎝のあたりに少し引っ込めておくことです。

 下腹を引っ込めるか、オシッコを止める意識をするだけで、お腹のインナーコルセットである腹横筋が働いて、腰椎の過度なズレを防いでくれます。
また、動作をする前に「これから、屈むぞ」「これから、これを持ち上げるぞ」と、頭の中でイメージしておくと、腰椎を安定させるのに必要な分だけ、脳が腹部をかたくしてストレスに備えるのです。

 寝ぼけているときやイライラしているときに、ギックリ腰が発生しやすいのは、これから行う動作に対して腹部の準備ができていないからです。
上記のことを実践していけば、ギックリ腰を再発させることはなくなりますので、是非お試し下さい。