パーキンソン病

これまで、パーキンソ病と闘っている患者さんを、15人ほど担当してきました。
 専門外ではありますが、罹患された方の不安と不調を、少しでも軽減できればと、あれこれ工夫してきました。

 先日いらしたシニアの女性も、長年パーキンソ病と向き合ってこられた方で、問診中も軽度の振戦が認められました。
 彼女は、アメリカに長く滞在され、教師をされていました。良い意味で、アメリカ人的な大らかさと、アグレッシブさがありました。
 そして、 少しでも良くしたいという、強い意志が伺えました。

 人は、極度の不安に陥ったり、大病したりすると、体が萎縮します(屈曲・内転・内旋) 。
 著書を読んで来院されたこの女性も、問診の時点では体全体が硬直+萎縮していました。

 姿勢検査と運動器の機能をテストして、陥っている歪みのパターンを指摘し、改善する為の方法を助言すると、激しく同意し、運動療法を実践してくれました

 この女性の既往歴は複雑で、過去の病気や怪我が絡み合って、スウェイバック姿勢で、下半身が極端に右回旋していました。
 拘縮・癒着した部位を施術すると、極端な姿勢の非対称性が改善して、動作も大幅にスムーズになりました。
 可動性が改善した後は、歪みのパターン病から抜け出すための動的ストレッチを指導。
 この時点で、画像の通り姿勢のシンメトリーは、かなり改善していました。

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セッション前。下半身全体が右回旋している。

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セッション後

 姿勢が整った後は、歩行フォームのチェック。
「骨盤が左へシフトし易いから、歩くときは左手を腰に置いて、いつもより20%速度を上げて」と指示すると、今度は「そんなに早く歩かなくていいから!」と、こちらが慌てるほど、スタスタと歩き始めました。まるで、別人の様です。

  パーキンソン病が、難病であることに変わりはありませんが、意識的に動かしていかないと、二次的、三次的な機能不全が発現します。
 0か100で考えるのではなく、少しずつコンディションを上げていこうとする志勢が大事かなと思います。

「日本では、パーキンソ病のリハビリを人任せにして、自分で治そうとする人が少ないわね」と、仰っていましたが、それは他の疾病・疾患にも当てはまる事でしょう。四十肩や腰痛症のリハビリでも、誰かが治してくれると思っている方が大勢います。

 帰り際に、「話を聴いて不安が減り、希望が持てました」と言って下さった事が、何よりのご褒美になりました。
 もっと良くしてあげたい。思うことは、それだけです。