上手にしゃがむコツ

〜しゃがむ〜

ヒトは生まれて10ヶ月もすると、誰に教わることもなく、完璧なフォームでしゃがみ、立ち上がれるようになります。
しゃがむ動作は最も大事な動作パターンであり、出来ることなら死ぬまで維持したいものです。

しかしながら、大人になると踵が床に接地した状態で、しゃがめなくなってしまいます。
しゃがむと直ぐに踵が浮いてしまうか、上体が過度に前傾してしまうケースが多く見られます。

運動指導者として考えるべき事は、深くしゃがめないクライアントに、バーベルを担いでスクワットさせる必要があるのか、ということです。
「スクワットやデットリフト、ベンチプレスは大事だから」と、盲目的にやらせてしまう指導者もいますが、ナンセンスです。
筋力アップのためのエクササイズは、適切な動作パターンの習得をしてからのステップだからです。

ウェイトトレーニングの種目には、日常生活やスポーツに反映できない「エクササイズのためのエクササイズ」が沢山あります。
頑張ったことのメリットは、「その種目」が得意になるだけで、動きが鈍臭くなってしまう場合も多い。

さて、上手にしゃがむ、もしくはスクワットするために、先ずやるべきことは、脳にエンド・ポジションを覚えさせることです。
「あ、このカタチに収まれば良い」のだと。これは全ての種目に該当することです。

リバース・パターニング・スクワットと言いますが、椅子や柱につかまって、安定した状態で深くしゃがんでみる。
ある人はスタンスを広くとる必要があるかも知れませんし、つま先を15度以上開く必要があるかも知れません。
誰かが作った「スクワットのルール」に従うことよりも、自分が快適にしゃがんでいられるスタンスの方が大事です。

つかまって深くしゃがみ、少し踵に荷重して感覚を入れたら、下腹・脇腹を張らせて4〜5呼吸する。お手本は、相撲の蹲踞。
立ち上がる時は、踵で床を真下に押しながら、頭を真上に運ぶように意識する。

立ち上がったら、「さっきのカタチ」に戻るだけです。脳がエンド・ポジションを理解していると、驚くほどスムーズにスタート・ポジションに戻ります。
動作の途中でアドバイスする必要がないくらい、脳が姿勢と動作を適確にコントロールしてくれます。

スクワットが上手くできない方、つかまって楽にしゃがめるスタンスを見つけることからトライしてみて下さい。IMG_6108