サムライの姿勢 第18話「腰痛持ちの暮らし方」

今回のテーマがご好評いただいているそうなので、19話まで続けたいと思います。

【痛み方でわかること】
 首や腰に痛みや痺れを感じたとき、病院に行くとレントゲンやCT、MRIなど画像検査を受けることになるのが一般的ですが、前号でもお話したように愁訴の原因が写真に描出される確率は20%と言われています。
 非科学的に思われるかも知れませんが、痛みを感じている組織が何なのかを鑑別するときに、実は本人の感覚があてになるのです。

 《痛みの原因が骨組織である場合》
 愁訴の原因が骨折や関節の変形にある場合、ズキズキと突き刺すような痛みか、痛みで脂汗をかいたり、吐き気を催したりする激しい痛みが特徴です。放置しておくと時間の経過と共に痛みが強まり、我慢できなくなる

 《痛みの原因が神経組織である場合》
 椎間板ヘルニアや関節の変形、靭帯の肥厚(ひこう)によって、脊髄や神経根が圧迫されている場合は、感覚麻痺や感覚過敏、焼けるような痛み、チリチリとする表面的な痛み、稲妻が走るような痛みが特徴です。

 《痛みの原因が筋・筋膜である場合》
 腰痛や肩こりなど運動器に関する痛みのうち、80%以上の原因は筋・筋膜(靭帯と腱を含む)の癒着や炎症と言われています。これら軟部組織の痛みは、うずくような痛み、部位が特定しにくい漠然とした痛み、こぶしで叩きたくなるような痛み、ぐったりするようなダルい痛みが特徴です。
 また、「動作痛」といって動き出す瞬間や、同じ姿勢を続けていると痛みが強まるのも特徴の一つです。

 昨年末に私が経験した痛みは、なにをしていても大型犬に噛まれているような強烈な痛みで、歩くことも眠ることも出来ませんでした。腰痛を患う人は大勢いますが、このレベルの痛みに至るのは稀なケースです。
 ほとんどのケースは、「椅子から立ち上がる瞬間」「屈んで物を取ろうとしたとき」といった動作にともなう痛みか、「ずっと座っていると辛くなってくる」「立ち続けていると腰が重だるくなる」といった同じ姿勢を続けたときの重だるい痛みです。
 安静時の激しい痛みや手足の痺れ(感覚異常)が生じていないのであれば、炎症が治るまで安静にしていると、自然と症状が治まる可能性が高いでしょう。

【痛みの伝えかた】
 医師に症状を伝える際に、ただ「痛い」とか「痺れる」と言っても、彼らの耳にはタコができているので、多少の工夫が必要です。
以下は一例ですが、医師を本気にさせる表現を列挙してみました。辛さを伝えるときの一助になれば幸いです。

「飛び降りたくなるような」「発狂したくなるような」「誰かを襲いたくなるような」「火で炙られているような」「ちぎれそうな」「犬に噛みつかれているような」「刃物で切られているような」「キリで刺されているような」