サムライの姿勢 第13話 「スマホ・シンドローム」

「スマホ・シンドローム」

 今回は、毎日何時間もスマートフォンを操作している「スマートフォンシンドローム」の人たちが患いやすい、身体的なダメージについてお話します。
「首と肩が慢性的に凝っている」という方、もしかしたら、携帯を操作している姿勢が原因かも知れませんよ。

【首が垂れた姿勢は最悪】

 現代人の多くは、胴体から頭が垂れ下がった「フォワード・ヘッド・ポスチャー(頭部前方突出姿勢)」になっています。頭の重さは、体重の約8~10%あります。頭が2・5センチ前方に出る毎に、首にかかる負担は4キロも増加します。
 ハードなデスクワークをこなす人たちは、頭が理想の位置から4センチ以上前に出ている人が大勢います。

 パソコン作業も首肩の筋肉と関節に持続的な負担を強いますが、スマホを覗き込む姿勢は、さらに大きな負担を強いることが判明しています。

 フォワード・ヘッド・ポスチャーが常態化すると、首肩の凝りだけでなく、偏頭痛、顎関節症、呼吸パターンの劣化、自律神経失調症、慢性疲労、五十肩、抑うつなど、様々な問題の引き金になるのです。
 健康寿命を延ばすためには、ヘッド・フォワード・ポスチャーになっている時間を減らすことが大変重要です。

【首に優しいスマホ姿勢】

 イラスト2は、首の角度変化によるストレスの増減を示したものです。
左端から0度 5.5Kg 15度 12.2Kg 30度 18.1Kg 45度 22.2Kg 60度 27.2Kg 

45度くらい首を曲げて、スマホの画面を何十分も覗いている人が大勢いますが、22キロもの負担が首にかかっていることを知ったら、さぞかし驚くことでしょう。
これなら、首や肩が凝ってしまうのが理解できますよね。

 イラスト3は、首への負担を最小限におさえたスマホ操作姿勢です。

 立位や座位に関係なく、骨盤を立てて背筋を伸ばしたニュートラルスパイン(生理学的湾曲)に保つことが大事です。
 次に、スマホを持っている腕の肘を反対の手のひらで支えて、腕と肩の負担を減らします。さらに、あごを引いて舌先を上の歯の裏側に押しあてておくことにより、首のインナーマッスル(筋肉)が働いて、頚椎の安定性を高めることができるのです。

 正しいスマホ姿勢を身に付けて、時々持ち換えるようにすれば、スマホ・シンドロームに陥るリスクを大幅に軽減できます。是非とも、お試しください。