サムライの姿勢 第5話 「ニュートラルスパイン」

◉ 姿勢が全ての基礎
 姿勢は健康の基礎です。どんな美貌やプロポーションであっても、猫背だったら台無しです。お国柄や文化の違いで審美的な基準は変わりますが、姿勢に対する評価基準は万国共通と言えます。
 見た目の問題だけではなく、姿勢が悪いと筋骨格系器、呼吸循環器系、消化器系の機能を低下させて、様々な不調をきたす原因となります。
 多くの人が気にしている姿勢ですが、「姿勢のガイドライン」なるものが普及していないため、「姿勢の基準」を理解している人は少数しかいません。
 
◉ 赤ちゃんの姿勢と動作がお手本
 近年、進歩的な運動療法の指導者たちの間では、赤ちゃんや幼児の発達過程における姿勢と動作パターンが注目されています。欧米諸国で開催されるトレーナー向けのセミナーでは、「プライマルムーヴメント」と称して、赤ちゃんや幼児の動作パターンをプログラムに取り入れている団体が増えています。
 赤ちゃんや幼児の体格は、ほぼ4頭身です。大人に比べて筋力が劣っているにも関わらず、座ったり、しゃがんだり、歩いたり、自由に動き回れるのはなぜでしょう。
 その答えは、背骨がS字にちかい形状を維持していて、頭部を胴体の真上にキープさせているからです。この状態をニュートラルスパインと呼びます。
 ニュートラルスパインになっているときは、背骨が頭部と上半身の重さを受け止めてくれるため、首や腰の組織に掛かる負担が最小になり、肩こりや腰痛を根本から改善します。
 大人が赤ちゃんや幼児の動作を真似て、ハイハイやローリングの練習をするのは抵抗があるかも知れませんが、機能的で痛みのないコンディションを維持していくためには、彼らの姿勢と動作パターンを再学習する必要があるのです。

◉棒で姿勢を知って壁で整える
 理想的な姿勢は、棒と壁で獲得できます。

【姿勢のチェック】
 自分の姿勢をチェックするには、1メートルくらいの棒を背中に当ててもらうとよいでしょう。尻の割れ目—背中—後頭部の3点が棒につき、腰と棒の間に手のひら一つがギリギリ入るのが、理想のニュートラルスパインです。
 尻の割れ目だけが棒についたら、「前のめり姿勢」になっています。背中だけが棒についたら、「スウェイバック」と呼ばれる不良姿勢です。

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【姿勢を整える】
 姿勢を整えるには、壁の角に尻の割れ目—背中—後頭部がつくように立ちます。(壁の角から半歩離れて立つ)これで「ニュートラルポスチャー」の出来上がりです。
 日に2〜3回、角に背骨をつけて姿勢を整えていると、脳に新しい姿勢がインプットされて定着するので、是非ともルーティーンワークに取り入れて下さいね。ニュートラルスパインを維持するコツには、立っても座ってもスプリット・スタンスにしておくことです。
 
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