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高齢者の立ち上がり・座り動作の練習

エクササイズよりも動作の再学習を優先する

座りっ放しのリスク

 座りっ放しのライフスタイルが、死亡率と2型の糖尿病のリスクを上昇させることが、オーストラリアの研究機関の調査によって判明しています。
 また、肥満になるリスクも大幅に上がります。座り生活の問題は、これだけではありません。

失われた動作パターン

 人間の体は、動くように作られています。道端で微動だにしない大道芸人を見かけることがありますが、なぜ、動かないだけで芸になるのでしょうか。

それは、ずっと静止していることが、動物にとって不自然で大変苦痛なものだからです。けれども、ほとんどのデスクワーカーは、動かない大道芸人のように何時間も同じ姿勢で固まっています。

 何十万年という気が遠くなるような年月を経て、ヒトの動作パターンはつくられてきました。
 しかし、パソコンの誕生と爆発的な普及によって、労働の形態が大きく変化しました。たった数十年間の間に、私たちは狩猟時代から続く自然な動作パターンを失いつつあるのです。

これにより、先人たちが経験しなかった慢性的な首の痛みや腰痛、うつ病などを患うようになったのです。
医化学が発展しても、私たちが効率的な動作パターンを見直さない限り、体のトラブルに悩まされる人の数は減るどころか増えでしょう。

エクササイズの前にやること

 現代人の体力低下は今に始まったことではなく、随分前から警鐘が鳴らされてきました。そして、人々はジムに通って「筋トレ」を始めたのです。
これが、さらにヒトが本来もつ理にかなった動作パターンを壊すことになったのです。

 脳は、体全体を動かす「動作パターン」をインプットします。上腕二頭筋だけ鍛えるバイセプスカールや、腹直筋だけ刺激して筋肥大させようとするクランチをやっても、それは動作ではなく、単一の動きでしかないため、筋肥大してもパフォーマンスはあがりません。

バッティングを強化するために、ラットプルダウンやベンチプレスをしても、バッティングの動作とは結び付きがないため、バッティングフォームが向上、改善することはないのです。

まず動作パターンを強化しよう

ボディービルダーが実践している、体のパーツを個別に鍛えるトレーニングが一般化したことによって、益々不自然な「動き」を学習してしまいました。
筋肉を孤立化して肥大させても、それが体全体の動作パターンを改善することにはつながりません。

 やみくもにエクササイズを始める前に、しゃがむ、かがむ、ねじる、押す、引く、歩く、踏み込むといった、原始時代から継承されてきた基本的動作を再学習することが重要です。
そうでなければ怪我をするリスクが高くなるし、努力に比例した効果がでないのです。
 

一連の動きを脳に刷り込む

 残念なことに、リハビリやシニアの体力強化の現場でも、ボディービルディング的な筋トレやエクササイズが蔓延っています。

パンツを履くという動作を想像してください。
パンツに足を通したら、膝まで上げて床まで下ろす。
これを10回2セット。
次に、膝から腰までパンツを上げたら、再び膝まで下ろす。16回2セット。

このように一連の動作を切り分けて、筋肉を個別に強化しようとするのが、一般的なエクササイズの理論です。
パンツに足を通したら、一気に腰までずり上げるもの。分けることに意味はないですよね。

スクワットも重たいバーを担ぐためにあるものではなく、本来は床から立ち上がる動作です。エクササイズがいけないというわけではなく、生活の動作パターンに直結していなければ、脳は何も学習しないという事が言いたいのです。

今回は、高齢者の方が安全に椅子から立ち上がり、椅子に座るという、「一連の動作パターン」を再学習する様子をご紹介します。

高齢者の安全な立ち上がり、座り動作パターンの再学習

 足を揃えるパラレルスタンスよりも、足を前後に開くスプリットの方が安全なので、是非ともお試しください。